国立印刷局東京工場見学 ‼

 今年の施設見学はコロナ禍のために 3 年間も待たされた国立印刷局東京工場に決まりました。10 月 17日午後、今回は県央のみの参加で 10 名が東京メトロ南北線西ヶ原駅に集合しました。東京工場は西ヶ原駅を出てすぐ隣にあり、通用門で受け付け証を提示し、各人の持ち物検査、身分証明書確認を済ませたのち、係員の案内で定員 67 名積載荷重 4.5 トンの大型エレベーターで二階に上がり、ロッカーにカバン・カメラ・スマホ・腕時計(カメラ付きの物があるため)を預け、他の見学者と合わせて 30 名が一堂に集合し、映像で 30 分間東京工場の概要説明を受けました。


 東京工場は紙幣の抄紙・インク製造・印刷の一貫工程を持つほか、その技術を利用してパスポート・切手・印紙・証紙・官報の印刷も行っているそうです。

 次いで別棟にある印刷工場を 15 名ずつ 2 班に分かれて見学しました。ここはガラス越しに工場を見るようになっており、中央にメインの印刷機、左にホログラム貼付機、右に記番号印刷機がそれぞれ数台ずつ稼働していました。現在は来年発行の新札をフル稼働で印刷中でした。先ず、大判用紙一枚に5枚×4 枚で計 20 枚の紙幣の裏を一度に 500 枚印刷し、検査の後表側を同様に印刷し、再び検査の後ホログラムを貼付し、更に検査の後記番号を印刷してから規定サイズに裁断し、最後の検査をした後百枚ごと、千枚ごとに帯をかけ、フィルムで包んで日本銀行に納入するとのこと。従って 1 万円札の場合は 1 封包が 1 億円分になります。ここまではお金ではなく商品の扱いになっていて、日本銀行から各金融機関に渡されて初めてお金としての扱いになるとのことです。以前は枚数管理のため、従業員が退場時に裸になって確認していましたが、これが不評であり、このように各工程で厳重な検査を行うことにより不良品の発生が殆ど無くなり、枚数のミスも皆無になったと説明がありました。見学時には新 1 万円札と新千円札の表裏大判見本が展示されていました。記番号のつけ方はアルファベットと数字の組み合わせで、現紙幣は A000001A から ZZ900000Z までの約 130 億通りで、一巡するとインクの色を変えて印刷していましたが、新紙幣では AA000001AA から ZZ900000ZZまでの約 3000 億通りになり、大幅に印刷できる枚数が増加したとのことです。なお、使用するアルファベットで数字と間違えやすい I と O は除いているそうです。

 見学後は展示室に戻り、紙幣の歴史、原図の描画からビュランという特殊な彫刻刀による原版の作製、デジタル製版と特殊メッを施した版面の作製、視力不自由者のために付ける識別マーク、世界に冠たる偽札防止のためのホログラムを含む様々な特殊印刷の説明等が展示され、紙幣づくりの全体像が良く理解出来ました。なお、透かしが抄紙段階で作られていることを聞いて、抄紙技術の高さにとても驚きました。また、1 万円札 1 万枚の重さを持ち上げて実感できるコーナーもありました。

 見学後は工場前で解散しましたが、一部の人たちは近くの飛鳥山にある渋沢栄一史料館の見学に行ったようです。

(2023/10 山口安広 記)